孤独部の日誌

名古屋とサウナとひとり旅

犬丸ラーメンの思い出

12/3、『犬丸ラーメン』一年ぶりの復活ワンマンが行われた。

『犬丸ラーメン』とは、名古屋は今池にあった、伝説のラーメン屋のコピーバンドである。

詳しくはこちらをご参照ください。


犬丸ラーメンのメンバーであり、店主「犬橋さん」を演じる人物は、名古屋でバンドマンとして活躍し、孤独部とも親交の深い舟橋さん。ちなみに最近だと今年夏に上演したAAFリージョナル・シアター2014『こころ』では、俳優として出演していただいたり。
ちなみに、舟橋さんもブログをやっている。(続々:我が逃走


舟橋さんの犬丸ラーメンの記事はこちら
続々:我が逃走 2014.12.03「今池午前二時 大丸メモリアルfeat.犬丸ラーメン」



ぼくがはじめて舟橋さんと出会ったのが犬丸だった。新栄にあるライブハウスDAYTRIVEと併設の、TRIMのバーカウンターだった。もう3年近く前になる、春のはなしである。

その日ぼくは偶然ライブを観に行っていた。お腹を空かせていたぼくは、その日出店していたラーメン屋を見つけた。550円。安い。ぼくは当時犬丸ラーメンはおろか、大丸ラーメンさえ知らなかった。


それから舟橋さんに連れられ大丸ラーメンにも行った。犬丸ラーメンの最初のワンマンではお手伝いを、一年前になる前回は客として2度たべた。

犬丸ラーメンを食べるたび、そんな舟橋さんとの出会いを思い出す。


今回も犬丸ラーメンに備えて、いつも以上におなかを空かせて夕方を過ごしていたのだけれど、呼び出しがかかり急遽お手伝いすることに。会場の今池HUCKFINN(大丸ラーメンのあった場所からごく近いライブハウスである)にぼくが到着したのは19時すぎ。開店予定の20時まで一時間ほど前にして、すでに列ができていた。

一杯、試食させていただいた。

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一口二口食べて、「こんな味だったかな」と思った。前回から丸一年経つし、本家になる大丸は、ぼくは半年ほどしか知らないのだが。

すると真くん(犬丸ラーメンのもう一人のメンバーで、調理を一手に引き受けている)が、肉汁を足してくれた。すると途端に、あの味の記憶が蘇ってきた。一口、二口。スープを飲み干したとき、あの大丸の味をはっきりと思い出していた。


犬丸ラーメンは大丸の"コピーバンド"だ。本家とまるっきり同じ、というわけではなく、本家よりたぶん、ちょっとうまい。

その微妙な違いが、犬丸の味だと感じさせる。コピーバンドを通じて、今はない本家を想起しているこの感じ。それは同時に、二度と本家の大丸は食べられないのだという寂しさも抱き合わせだ。
この日のお客さんは昨年にも増して長い行列をつくり、閉店間際の頃の大丸をまるでみんなで再現しているかのようだったらしい(ぼくは洗い物をしていたので見れていない)。

この日関わったすべての人が、各々の記憶の中の大丸を思い出していただろう。ぼくもその一人だった。味で、演技で、雰囲気で。犬丸ラーメンはその一役を担っていた。そして、ぼくにはぼくの大丸の思い出があるように、この日集まった一人ひとりに、大丸の思い出があるのだろう。

それを思い出させる犬丸ラーメンは、まさにコピーバンドだった。この一夜はエンターテイメントだったし、観客をも巻き込んだ演劇でもあっただろう。明け方帰り道、ひとりであの松屋に寄った。