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岸田國士戯曲賞、上田誠「来てけつかるべき新世界」読んだ

今年の岸田國士戯曲賞は、ノミネート作品が公開された!読める!(今日まで)

 

 昨年か一昨年くらいに、ノミネートされた一部の方が自主的に公開したりしてた気がする。全部公開されれば、予想してみたりするのもたのしい。

ので、暇なときにチラチラっと読んでみた。

 

そのときはこんな感想だった

受賞した上田誠さん「来てけつかるべき新世界」は正直、最初の1,2ページ読んだところで読み飛ばしてた。"吉本新喜劇かよ!"と思ったので……。

この記事の中にある「吉本新喜劇×近未来SFタッチ」、読んでみたらまさにそんな感じ。

ドローンや人工知能など、今話題の、そしてこれから実現していくであろうテクノロジーが実現した世界を、大阪・新世界の串カツ屋前を舞台に描く吉本新喜劇タッチの作品。

 

岸田國士戯曲賞は、"演劇界の芥川賞"という異名をもつ賞。なので意外だったのだけど、ちゃんと読んでみると、単に吉本新喜劇で近未来を扱いました〜というレベルではなかった(ノミネートされてるんだから当然か)。

いや、やってることはかなり実直に吉本新喜劇×近未来SFだと思うし、最後まで難しいことなしに笑って楽しめるコメディだと思った。

近未来への想像が散りばめられてること。ドローンが発達したら、ロボットが当たり前になったら、VRや人工知能が身近になったら……。どれも今のタイミングでは馴染みあるネタになりつつあるが、一つ一つでも十分ネタになるところを、これでもかと全部盛りにしてくる。

その舞台設定として吉本新喜劇的な、馴染み深く旧時代的な演劇を用いることで、近未来を徐々に受け入れていく旧時代のひとびとをおもしろくもわかりやすく描くことに成功している!

笑点大喜利とかで見られる、新しく出てきたガジェットとかお題にする→高齢者にも知られ、受け入れられていくみたいな構図

  

 

思えば上田誠さんは「サマータイム・マシン・ブルース」の原作者だから、もともとコメディ×SFだったんだなぁ。軸がブレてない!

 

最近、岸田賞に限らず、"現代"に目を向ける作品に当たりがちだったからか、"未来"をバーンと提示したこの作品は清々しさがあるように感じた。

ドラえもんとか鉄腕アトムとか2001年宇宙の旅とかのような、未来の指標になるような作品って今あるのかな?現実の発展がめざましくて、フィクションがあと追いになってきてる感ある。余談でした。)

 

 岸田國士戯曲賞は東京近郊が対象の賞だという批判もあるみたい。そんな中、上田誠さんは関西(ヨーロッパ企画という劇団)の方。台詞もコテコテの大阪弁。ノミネートされた平塚直隆さん「ここはカナダじゃない」はガッツリ名古屋だし、受賞者だけでなく作中の場所や言葉、ひっくるめて作品の纏う空気が、これからどんどん地方へと広がっていくのでは(期待も込めて)。

 

今後発表されるであろう選評もたのしみ。