「三十歳までなんか生きるな」と思っていた、という本がある。
保坂和志のエッセイ。
ぼくも30歳までなんか生きるなと思っていた。あるいは、30歳まで生きてるんだったらぼくはGLAYのTAKUROみたいになりたいと思っていた。中学生のぼくはGLAYが好きで、TAKUROみたいな大人になりたいと思っていた。当時のTAKUROがそれくらいの年齢だったから、意識してたんだと思う。30歳。意識しなくなってたけど、その名残はたぶん今の自分にも影響してる。
中学生のとき、TAKUROの胸懐という本を読んだ。
30になったら、こんな大人になりたいと思っていた。
なれなかった。なんにも成せなかった。三十にして立てなかった。
昨夜、つまり二十代最後の夜に見た夢は、悪夢だった。無数の怖い話。
めちゃめちゃ怖い夢みて目が覚めた。
— 宇宙よりも遠いおいも (@nagoyaman1988) 2018年2月6日
薄暗い何もないような部屋で寝ていて外からクレーンの先の紐が部屋の中に結ばれていたり遠くの部屋から誰か見てたり。マリオのゲームなんだけどクリアできずに引き返すとテレサがガチオバケになったり。いくつものシーンがあって全部怖い→
目覚める直前の夢が過去一番怖くて、舟橋さんに超満員だった銭湯の外で遭遇して、「サウナ来たけど全然楽にならない」って話したら「そりゃそうだよ、もう死んでるんだから」と言われてそのあと毛皮のフードみたいのが遠くに見えた。ほんと怖くて自分の声で目が覚めた
— 宇宙よりも遠いおいも (@nagoyaman1988) 2018年2月6日
最後の、自分の叫び声で目覚める瞬間が脳裏に焼き付いている。フードを被った何かは、間違いなく死神だった。死神らしい黒いフードじゃなくって自然な装いだったけど、"あ、殺される"と思った。本当に怖かった。
ほんの一瞬だけ逃げるか迷った気がする。あのとき夢の状況に身を任せていたらどうなっていたのだろう。忙しくて余裕のない仕事中、昼休憩で弁当を食べ終わったあとぼんやり考えていた。
太宰治「人間失格」の冒頭と最後を思い出す。
恥の多い生涯を送ってきました。
ただ、一さいは過ぎていきます。
明日もいつも通り仕事で、20代の間ずっと続けてきたような生活を続けてしまう。繰り返してしまう。なにやってんだ自分、というこれは20代前半でかいた台詞だ。大人になんてなりたくなかった。これも。そういえば30になる男の誕生日を書いた話もあった。そうか。もうそんな歳か。
確認すればするほど、なんにも成せなかったと思う。あの頃繰り返し聴いたGLAYの曲を、久しぶりに聴いてる。