孤独部の日誌

名古屋とサウナとひとり旅

「年収90万円でハッピーライフ」を読んだ

‪「年収90万円でハッピーライフ」を読んだ。‬

年収90万円でハッピーライフ (ちくま文庫)

年収90万円でハッピーライフ (ちくま文庫)

 

本屋でちょっと立ち読みしてみたら、エッセイみたいでおもしろそうだったので購入。‬
‪ライフスタイルのノウハウ本かなーと思わせるタイトルだが、内容はあまり年収90万であることは重要ではなく、"幸せな暮らしとは何か"について書かれている。‬
‪文章の語り口や内容がティーン向けっぽいなと思っていたら、あとがきに青少年向けに書いたとあった。たしかにこの内容は、ぜひ十代のときに読みたかったな。(タイトル、もうちょっと青少年が手に取りたくなる題でもよかったのでは?キャッチーだけど)‬
‪いわゆるノウハウ本である以上に筆者のマインドが丁寧にかいてあって、なかなか興味深かった。


‪「自分自身にとっての幸福とはなにかを考える」というのは、当たり前のようでけっこう難しい。‬
‪親や周りの目が気になるのはともかく、大人になるまでに無意識に自分のなかにつくりあげてきた"社会的な正しさ(≒ふつう)"が邪魔をする。そういうものの呪縛から自分を解き放つのって、けっこう難しいと思う。どうすればこの呪縛から上手に逃れられるんだろうか。‬
‪自分にとっての幸福がなにかを自分できちんと理解できていたら、生きていくのはずいぶん楽になるだろうなぁ、と思う。そしてそれはやはり、自分と向き合って、丁寧に探していかなくてはならないのだ。‬


‪10‪年くらい前にひとり暮らしをはじめたとき、生きるのがすこし楽になったのを覚えてる。人に気を使わず、生活リズムを自分でつくることができるのは精神的にかなりよかった。‬
‪最初こそ一人で生活できるか不安だったけど、はじめたらわりとすぐ慣れてめちゃめちゃ楽だった。一人分の家事は大したことないし、物欲もないからひと月に使うお金は大した額ではない。誰の目もないから、どれだけだらだらしてても怒られない。最高だった。それから10年経って、生活リズムはあまり変わってない。以前にもまして活動量が減って、よりシンプルになった。‬この本の筆者ほどではないが、自分もけっこう隠居生活みたいだと思う。
‪学生の頃は朝早くに起きて寝るまでフル活動みたいな感じだったけど、いま思うとけっこう病んでた。そういえば、一番病んでたのは最初の就職のときで、仕事も辛かったしダブルワーク(夜勤)もしたしであっという間に病んだ。それが一人暮らし最初だったけど、あの家で過ごすわずかな時間は好きだった。あの頃に比べたら、今の方がずっと精神衛生はいいな。

でもたまに、同世代の人間の"ふつう"と比べてしまうと「このままでいいのか」「もうちょっとちゃんとした方がいいのではないか」と不安になる。「自分はこれでいいんだ!」と開き直ることができない。この胸のつかえは、どうしても時々感じて、なかなか取ることができない。‬
‪「自分にとっての幸福とは何か」ということがはっきり自覚できていれば、この胸のつかえもなくなるのかもしれない。読後はそんなことをぼんやり考えていた。‬