phaさんの新刊「夜のこと」を読んだ。
phaさんの本が好きで、最近は新刊出るたび買ってる。「どこでもいいからどこかへ行きたい」もかなり好きで、よく読み返してる。
「夜のこと」を手にとってまず驚いたのが、装丁。
表紙の触り心地が、なんかしっとりした質感。こんな本の表紙はじめて。
中も、黒っぽい紙に白い文字で印刷されていて、内容によって色味が変わっていく。
内容と相まってとても装丁の雰囲気がよい。これだけでも手に取った甲斐がある本だ。
そして内容。
私小説で、30代の主人公の、赤裸々な性体験が語られていく。
といってもセックスそのものというより、その前後の空気とか、主人公のセックスや恋愛への考え方とかについて。
妙にリアルでめっちゃ生々しい。そんな経験はないのに、不思議と一つ一つのエピソードに共感しながら読み進めていった。
終盤では、勢いのある文章もあり、これまでのphaさんの感じとはまた違った面を感じた。
ストラップ劇場のくだりが、特になんだかグッときた。
ストラップ劇場の、あのなんだかひなびた感じと30代の影のような恋愛やセックスってのに、なんだか似たような雰囲気を感じる(ストラップ劇場とか行ったことないけども。一度行ってみたくなった)。
実はもととなってる同人誌版も友人が文フリで買ってきてくれて、手に入れて読んでたんだけど、新たに加えられた話も多いし順番も違う。印象はかなり違った。
30代は特にモテたというphaさん。30代ってモテるのか……?自分も30代になったけど、ぜんぜんそういう感じはないな……。
読んでるときは全然思わなかったけど、あのphaさん(といっても本でしか知らないけど)もやることやってる(?)のか……しかもえげつなさがあるな。なんか意外だ。
これまでのエッセイに比べて、人が深く語ることのないような、ずっと深くて人間くささを感じるものだった。
それでいて、これまで同様に水のような読みやすさがあるのも不思議だ。
一読したあとも、ちびちびと読み返してる。