孤独部の日誌

名古屋とサウナとひとり旅

大森靖子さんとぼく

明日は大森靖子メジャー1stアルバム『洗脳』の発売日だ。


大森靖子「イミテーションガール」MusicClip - YouTube

弾き語りを基本スタイルに活動する、新少女世代言葉の魔術師。'14夏はTokyo Idol Fes、フジロックロックインジャパンに出演、音楽の中ならどこへだって行ける通行切符を唯一持つ、無双モードのただのハロヲタ。あとブログ。
プロフィール | 大森靖子公式サイト


最近は大森さんばかり聴いている。前作『絶対少女』などをiPhoneでイヤホンで聴き、メジャーデビューシングル『きゅるきゅる』についてきたライブDVDを何度も何度も聴き、観返している。


大森さんがメジャーデビューしたのは今年の9月。

その丸一年前には名古屋のライブハウスCLUB ROCK'N'ROLLで、孤独部はツーマンをさせてもらった。

さらにその丸一年前には、同じく名古屋は新栄のライブハウスDAYTRIVEのブッキングで対バンした。


ぼくがはじめて大森さんをはじめて観たのは、その夏のことだった。2012年。

オールナイトイベントを観に行った、そのライブに出ていた。あの日は大森さんのバンド「ピンクトカレフ」だけでなく、そのギターの小森さん率いる「壊れかけのテープレコーダーズ」、ベース大内ライダーさんの所属する「太平洋不知火楽団」も出演していた。名古屋での話である。いま思えばすごいラインナップだった。

それを何も知らずに見たぼくはそれなりに衝撃を受けたわけなのだけれど、それが時間を追うごとにましていくなんて、あのときはまだ気づいていなかった。


その秋、DAYTRIVEで大森さんと対バン。偶然だった。トリをつとめる大森さんが「PINK」をうたったのは、いまだ目に焼き付いている。

年が明けて1月、大森さんの月例企画に呼んでいただいた。その日は大雪になった。高円寺の円盤でのあの夜の孤独部は、実は今思い返すと少し悔しい。あの夜に対バンしたもう一人、川染さんにも衝撃を受け、ぼくはいまだ影響を受けている。


それから季節は巡って2013年秋、大森さんにツーマンのお誘いを送り、実現。そのときちょうどメジャー行きが決まった頃だった。

これはそのときの孤独部の作品。
この日のぼくは結構疲弊していて、あまりお話できなかったのを憶えている。


それから一年後、メジャーデビューシングル『きゅるきゅる』の発売を控えた大森さんは矢場町のパルコの前でインストアライブを行った。ぼくはそのとき客で行った。

その場で予約すると、握手券がもらえた。すこし気恥ずかしかったが、せっかくなので握手の列に並んだ。大森さんはぼくのことを憶えてくれていた。


大森さんとぼくは、同い年である。

ぼくは文字通り手の届く距離で、はるかにその距離が開いてしまったように感じた。

それは大森さんの音楽が遠くなったという意味ではない。むしろそれは逆だ。つい先日、明日発売のアルバム『洗脳』のインストアライブにも行った。その最後の曲、アカペラで「呪いは水色」をうたっていた。客席で。


大森さんは、またもぼくの目の前、手の届く距離にいた。ぼくに限らず全国を駆け巡り、きっとぼくと同じように、その手の届くところで大森さんの音楽、ライブを再び感じた人もいるのだろう。その母数は、ぼくがはじめて見たときからのこの数年のうちに、どんどん増えているに違いない。

ぼくが感じた距離というのはつまり、あの日曲がりなりにも同じ舞台に立っていたのにも関わらず、今は舞台の上と下ということだ。ぼくが上がるのではなく、大森さんが下りることで会えているということだ。
別に、有名人に会いたくてやっているとか、逆にじぶんが有名人になりたくて自身のこういう活動をやっているというわけではない。ないのだけれど、単純に、悔しさを感じる。感じてしまう。それが正直なところだ。なぜ自分が今、あちら側にいないのか。
余談だが大森さんは来年6月に演劇公演にも出演するそうだ。



大森靖子「絶対絶望絶好調」MusicClip - YouTube


ずーっと聴きつづけてしまう音楽は、大抵じぶんの胸にぐさっと刺さることばを忍ばせている。

「ねぇ知ってた、サブカルにすらなれないうたがあるんだよ」
「ねぇ知ってた、アンダーグラウンドは東京にしかないんだよ」
「雑巾みたいなバンドは売れない」

まるで自分に向けられてるんじゃないかと勘違いするほど、迫ってくる。



大森靖子1stアルバム「洗脳」type収録『ピントカ キネマ倶楽部』ダイジェスト - YouTube


アルバムもだけれど、ピンクトカレフのライブDVDを観るのがとても楽しみだ。
先ほど挙げたメンバーの方たちもだが、個人的にもう一人のギター、高野さんにはいつも目を奪われる。ボーカルをつとめる人に目を奪われることは何度もあるが、そうでない人物に目を奪われることは、それほど多くもない。思い浮かぶ何人かの方をのぞけば、かわいい女の子か、そうでなければ高野さん位かもしれない。



大森靖子&THEピンクトカレフ「Over The Party」2014年1月1日 - YouTube


同い年の女性の活躍を、また同じ舞台に立つこともあった人びとの姿を見ながら、明日の自分は画面の前で何を思うのだろうか。きっとまた何度もひとり観返すことだろう。