孤独部の日誌

名古屋とサウナとひとり旅

脚本の書き方について考える

最近は、脚本を書いています。

作品はコンスタントにつくり続けてきた気がするけれど、実はここ最近は脚本をあまり書いていなくて、

  • 太宰のリーディング…「冬の花火
  • ひとの戯曲の演出…「木村さんと鈴木さん」
  • 原作があるもの…「岩瀬彌助と夢見る本棚」、「女生徒」
というものばかりだったので、この度半年ぶりくらいのオリジナル脚本に取り組んでます。

もともと脚本はそれほど書いている方ではないので、特に書き方というのが自分の中にない。何冊か読んだ本を参考にしたりはするけれど、大体かくときは一気にバーッと書いてしまう。

それでもなんとなく書くときのフレームワークみたいなものはある気がするので、試しに書き出してみます。こういうのを自覚しているとしてないでは効率がけっこう違う。


1.タイトルを決める
演劇作品はタイトルをまず提出することが多い。公演の場所と日どりが決まっていて、そこにタイトルさえあれば、とりあえず告知が始められるからだ。この段階では中身がまったく決まってないこともある。

シリーズ的にすると統一感が出るし、タイトル決めも迷わなくて楽。過去作品を振り返ってみると、意図的なのもあるけど、無意識にシリーズ的になっているのもあった。

  • 学生シリーズ…「学生」「中学生」「教室」など
  • 季節シリーズ…「初夏」「晩秋」「エアコン」など
  • 漢字二文字…「学生」「晩秋」「電車」「田中」など
  • パロディ・オマージュ…「嘔吐」「思い出のマーニーマーニー」
  • 語呂や雰囲気…「おちんこでる」「そうたいガール」
ちなみに次やる「銀河鉄道殺人事件」は、新栄トワイライトというイベント名から連想ゲームで、トワイライト→トワイライトエクスプレス(団体名にした)→電車→銀河鉄道・殺人事件、と考えて、2つを繋げてみた。今回は、タイトルを先につけてしまったせいで本当に苦しんでいる……。

2.イメージを膨らます
タイトルをつけてしまうと、今度はこれが縛りになる。この時点で

  • タイトル
  • 上演場所
  • 大体の上演時間
  • 出演者
  • 動機(やることにしたきっかけ)
くらいは決まっている場合が多い。

タイトルから更に連想ゲームを続けて、行き当たった言葉を辞書で引いたりググったりしてみる。関連する本や映像などがあれば、ためしにあたってみる。
また、上演場所や出演者の雰囲気からこういうことが似合うだろうとかっていう方向からも連想しておく。動機も連想に加えておくと、芯がブレないのでよい。

こういうことを続けていると、なんとなくイメージみたいなものが立ち上がってくる。そうすると後は書くだけ、みたいな気持ちになれるからいいのだけれど、イメージがいまいち立ち上がってこない時が厄介。
(あと、このイメージ出しの時間はたのしいけれど、あんまり進んでる感じはしないからいつもちょっと後ろめたい)

3.書く
イメージが立ち上がってきていれば、とりあえず書き出すことができる。イメージができてなくても、どこかのタイミングで書き出さなくちゃいけない。

この時のポイントは、とりあえずどんどん書き進めるということ。経験上かきかけで止まってもあまり好転することはなく、ただ時間を浪費するだけ。とにかくどんどん書き進めることが重要。

書き出せば、書いたことから次の一言がなんとなく見えてきたりする。また、書いているうちに実際どんな風に舞台を使うかとか、俳優がどんな格好かなどの絵もなんとなく浮かんでくるし、ストーリーも思いついたことを順番に並べていけば、自然とできてくる。

プロットとか言われる事前の準備みたいなものは、あまり役に立たないことも多い。イメージ出しの段階で自然に出てくる場合もあるし、それがいいと信じられるものなら守ってもいいと思うのだけれど、大抵かいていると目先の書いていることのほうが重要事になるので、事前のプロットは無視したくなることが多い。イメージ出しで生まれた材料の一つくらいに考えた方がいい。

反対に、イメージ出しの段階で特に回収するつもりのなかったアイデアとかが、パズルのピースのようにハマって出来上がっていくことがある。別にアイデアは、わざわざ丁寧に書きとめておかなくても「そういえばこんなのあったな」みたいな感じで織り込まれていくことが多い。反対に、無理してまで入れなくてよい。

繰り返しになるけれど、とにかく前に書き進めることが大事。演劇はお客さんも巻き戻してみたりはできないので、なんなら同じことを2度3度言ったって全然いいと思う。無理に辻褄合わせしたり、無意味に読み返す位なら、とりあえず前に進んだほうがいい。

4.直す
思えばあとから直すってことをぼくはあんまりしてこなかった。「できたー!これで完成」と思ったら、あとは演出の自分に投げて、脚本はおしまいにしてしまう。

あとは実際に稽古場でやってもらって修正したり、気に入らないところは切ったり並び替えたりする。声に出すとけっこうイメージと違ったりする。違ってもそれはそれでおもしろいと思うので、この辺りからいよいよ書いた段階のものとは別のモノに変容していく。

一度書くモードから離れると、あとから書き加えるっていうのはけっこう難しいことが多いので、脚本の段階ではもりもりにしておいた方がいい……とも思うんだけど、なかなか書いているときはそうはいかないのが難しい。

あと、しばらく寝かせたのち結局全部書き直すってことが過去何度かあった。そういうのは大抵スタートの段階(縛り)で抜けがあるから、そこはしっかりしておいた方がいい。特に動機に注意。見失うと何がしたかったかわからなくなる。



思いついただけ書いてみた。
未来の自分が行き詰まったときに読んで、何かの参考になることを願う。

他の劇作家さんの考えやご意見も、ぜひうかがってみたい。みんなどうやって書いてるんだろう?もしよければ教えてください。



過去に読んだ書き方の本を何冊か書き出しておく。

高校生のための実践劇作入門―劇作家からの十二の手紙

高校生のための実践劇作入門―劇作家からの十二の手紙


某劇作家さんにオススメをきいたらこれだったので購入した。

演劇入門 (講談社現代新書)

演劇入門 (講談社現代新書)


「現代口語演劇」の平田オリザ先生。こんなに平田オリザ作品のつくり方がわかりやすく書いてあるのに、真似する人が意外と少ない気がする。

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)


小説家・保坂和志先生の小説入門。小説だけど物書き的には参考になる。



上に書いたこともだいたいこの辺りからの受け売りだと思う。もうちょっと色々本を読んだほうがいいかもしれない。

最近は、いわゆるシナリオ(TVドラマとかのを指す?)の書き方にちょっと興味がわいているので、調べてみようと思う。

その前に、脚本かかねば。
今書いてるのはこちら。

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新栄トワイライトvol.6
トワイライト・エクスプレス「銀河鉄道殺人事件」


正直めっちゃ悩んでいる。なんでこんなタイトルを先につけてしまったんだろうと後悔している。難しいタイトル。

3回くらい途中まで書いて全消しして、昨晩ようやく最後まで書いた。でも感触的に、また1から書き直す気がしている。
久しぶりということもあってか、書けば書くほど新しいアイデアが沸いていることが救い。ようやく手ごたえが出てきた感じ。

がんばります。
イベント自体おもしろい企画なので、ぜひお越しください。