孤独部の日誌

名古屋とサウナとひとり旅

あいちトリエンナーレ2019に行ってきた 〜芸文・円頓寺

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お盆に、あいちトリエンナーレ2019に行ってきました。

今回は友人たちと、芸文と円頓寺の2会場を見て回った。

まずは朝サウナ

先日引っ越したばかりの友人が、夜行バスで朝名古屋に着いた。

ウェルビー栄で朝サウナをキめる。

けっこう人多かった。アイスサウナはこれで3度目だけど、意外と平気で入れた。いつもより少しぬるかったのかもしれない。

ウェルビー今池とウェルビー栄は若干料金システムが違うらしく、栄の朝コースは1時間だった……勘違いして2時間強滞在してしまったため、普通料金になってしまった。今後気をつけよう……。

その後、オアシス21の喫茶店でモーニング。朝からいきなり名古屋ってかんじのコースだ。

愛知芸術文化センターを巡る

他2人と合流し、計4人でトリエンナーレ巡りをスタート。

チケットは友人が事前購入してくれたため、8Fから見て回ることに。

中に入ってからぼくは単独行動で、どんどん見て回った。経験上こういう大規模な展示は、ガンガン見てかないと見きれない。

気に入った作品を写真に収めたので紹介してく。

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8F最初の展示。シルクスクリーンで層を重ねた作品だ。映像で作業の様子も流れてたけど、途方もなく大変だろうな……。ビル群のようにも見える造形で、かっこよかった。

あとから振り返ると、こういう「きれい」とか「美しい」という感想をもつタイプの作品は全体的にはかなり少なかった。

写真は撮ってないけど、無人の台湾の街並みを空撮した「日常演習」という映像も印象深かった。

毎年春先に行われてる防空演習なんだって。まるで映画かCGかのような光景が、実際に毎年行われてるものだとは。

台北駅付近も映ってた。旅行で足を運んだ場所だから、いっそう身近に感じた。

続いて、ジオラマの遊園地が爆破される「トゥモローランド」という映像も印象的。ループになってるのもいい。

今回は映像作品がすごく多かった印象。しかもその多くがドキュメンタリーみたいな映像で、内容こそ興味深いけど展示作品としては長すぎるしわかりづらいし、作品としての形はもっと工夫できるのでは?と思うのが多かった。

その点でもこの「日常演習」「トゥモローランド」はパッと見ただけでもわかる、よい作品だったと思う。

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メインビジュアルにもなってる「孤独のボキャブラリー」。

ピエロの人形たちのポーズが、絶妙にリアルで、間をぬって歩いてると、ひとの間を歩いてるのと同じ気配を感じる。

演劇の稽古場の休み時間みたいだ。だだっ広い空間には人形ばかりのはずなのに、すごく人の気配を感じた。

昼ごはんはシンガポールチキンライス

ひとり10Fの途中を観てると、友人たちから連絡が。昼ごはんを食べることに。

オアシス21のアジア料理のお店に入った。こんなお店できてたんだね!

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シンガポールチキンライス。東南アジア旅行中にもどこかで食べた覚えがあるな。おいしい。

そういえば展示作品に、シンガポール料理についての映像もあった。旅行でも身をもって感じたけど、料理って歴史が深く影響していておもしろい。あの映像で語られてたことも興味深かったな(長くて部分的にしか観てないけど)。

再び芸文へ

芸文の残りを観てまわる。その前に、ちょうど時間だったのでこちらの展示に。

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メンソールが充満した部屋。

涙が出るほどではなかったが、鼻スースーした。出たあともしばらく体がスースーした。意図とは全然ちがうけど、なんか温泉施設の一角にあったらいい部屋だなと思った。夏にちょうどいい。

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ピエロ部屋を通過。さっきより観客が多い。なんか全然感じ方がさっきと違う。これは人に少ないときに観る方が個人的にはよかったな。

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ひとり先に見終わってしまった。

友人たちが見終わるまで2周目を回ろうかとも思ったが、疲れてたのでオアシス21のクリエで休憩。

無料シャトルバスで円頓寺へ移動

見終わった友人たちと合流すると、16時すぎ。名古屋市美術館は17時閉館なので、20時までやってる円頓寺へ行くことに。

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無料シャトルバスは30分おき。16時半は満席だったので、すこし休憩がてら待って17時の便で向かった。

こういうのあるの、ありがたいな。

円頓寺を巡る

円頓寺に到着し、地図を頼りに巡っていく。

ユザーンの、会期40日間、毎日10時間太鼓を演奏し続ける"修行"。時間が許すなら、しばらくずーっと聴いていたい感じだった。演奏し続けるの、すごいな……。

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この鏡のもよかった!

奥のスクリーンとなってる襖に映されてる映像に、半透明の人が映る。よく見ると自分だ!えっ?と思って振り返ってみると、どうやら後ろのカメラで撮られた映像が出力されているのだ。しかし、その間には全面鏡になってる襖もあって、脳が混乱する。

家屋とも相まって効果的だ。なんか日本家屋だからか小津映画思い出すな。

その展示と同じ建物の、奥にある展示空間が以下のもの。

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この空間、音が吸われててすごく静かでよかった。展示そのもの以上に、音が吸われる空間ってのがすごくぐっときた。

この日最後に観た会場。

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弓指寛治さんの作品、むちゃくちゃよかった。写真のは全体の一部分というか、1つの絵だ。

交通事故で亡くなった子どもたちとその加害者のことについて、展示空間が1つのストーリーとなっている。

取材も、子どもが描いたようなタッチの絵も、場内にある言葉も、空間の使い方も、すごく丁寧で誠実で、この日見た展示の中でいちばん胸に迫るものがあった。

写真が会場のいちばん奥の場所になるんだけど、そこから引き返す通路にある車の絵をめくってく仕掛けとか、ほんとうにうわ〜ってなる。

円頓寺のごはん屋で晩飯

円頓寺から国際センター駅へ向かう途中で晩飯をたべた。イタリアン屋に入ったんだけど、とても美味しかった。

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写真これしか撮ってなかった……。まるごとトマトの中にツナが入ってるやつ。

ほんとおいしかったので円頓寺行くときはまた寄りたい。

全体の感想と、思うこと

芸文と円頓寺の2会場だけしかまだ観てないが、全体的にとてもよかった。

ドキュメンタリーみたいな映像が多かったのも、ジャーナリストの津田さんが監督がゆえの傾向なのかな。内容的にも今見るべき問題という感じがしてよかった。

最近、海外旅行に何度も行ったことで、これまで以上に関心をもって観ることができたものも大きかった。特に足を運んだアジア圏の話は、これまでよりずっと関心をもって見ることができた。

 

この時期に観に行くことにしたのは、例のニュースになっている件を受け「もしかしたらどんどん展示が減るかもね」という懸念からだった。

実際、この日はちょうど、作家から展示取りやめの申し出があったとニュースが出た日だった。会場でも「表現の不自由展」は見れず、他2つの展示も張り紙がしてあり、見ることができなかった。

実際にこの目で見たかったな。

表現の自由に準じて検閲なんてあってはならないし、展示物を見てもない人々の中傷、暴力に屈するのも悔しい。「本来見れたはずのものが見れなかった」というのは、実際に会場に足を運んだら、ほんとうに悔しかった。この目で見て、じぶんがどう感じるのか知りたかった。

検閲はともかく、安全面に関しては、先日の京アニ事件もあった直後、冗談ではまったく済まされない事だ。正直、会場に足を運ぶのが危ないかも、と想像してしまう。だから、物理的に仕方ないかも、という気持ちはある。

この国はもうすでに、安全に何か表現したり、それを安全に受け止めることができない国になってしまった。

そしてそれは、検閲(つまり国家)よりむしろ、市民がそうしているのだ。

本当に嫌な時代だ。

この目で作品を見たかった。見れたはずのものが見れなかった。その機会がこんな形で奪われたことを、とても悲しく、悔しく思う。