孤独部の日誌

名古屋とサウナとひとり旅

モノローグ演劇会ナゴヤ2024の感想

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ノローグ演劇会ナゴヤ2024が終わりました。

全通させてもらいました。何度も見たことで、初見では気づかなかったことにも気づけたり、回ごとの雰囲気の違いを肌で感じられたりと興味深い経験でした。複数回みるのいいですね、なんなら初回より2回目以降の方がたのしめたかも。

以下、つらつらと作品ごとの感想です。個人の感想です。

 

腐女子は死なない」
みきをさんの熱演がすごい。絵に描いたような腐女子感が出てました。語られるえげつないエピソードは、"最初にスマホを買ってもらったやつのスマホでエロ動画を見る会"など、解像度がとても高いことに驚きました。

 

「ひとりごと」
急遽代役として作演出の道岡さんが出演となったそうですが、ものすごくハマり役だと感じました。どこかミステリアスな雰囲気で物語にマッチ。
部屋の壁を示すときの手ぶりが好き。ともすれば体全体で示してしまいそうなところを、コンパクトにやっていたところに、言い方も含めてセクシーさを感じました。
 

「カナブンを殺した」
こういう、誰に言うわけでもないけど自身のなかで葛藤することってあるよなぁ〜、と共感。そして、これを書いたいばさんは、きっといい人なんだろうなあと想像しました。勢いはあるけどいい意味で抜け感が常にあって、とても愛らしいキャラクターでした。

 

「みどりちゃんは今日もげんき」
照明や役者さんの立ち位置の使い方がとても大胆。照明から外れてるときの浮かび上がり方や、ラストのものすごく照明に近づくことで起きるハレーションで神々しく見える感じが、"げんき"なみどりちゃんと対比になっていて、作品のもつ暴力的なまでのパワーを、より増大させているように感じました。

 

「○○○○マンの死」
元ネタを知らなかったけどオチで理解。と同時に、元ネタを抜きにしても面白い視点でのモノローグでした。端役のようなキャラにも、その視点には物語があるのだと気づかされる作品。日本語になった瞬間に雰囲気まで変わっちゃうのがおもしろかった笑

 

「未来の日本の片隅で」
自作なのでさらっと。役者の、一見風俗嬢っぽさのない雰囲気がかえってリアリティを増してた。単なるフィクションではなく、今の私たちと地続きのところにいる人という感じになったなと思います。

 

「くだり、あるいはひとつのセッション」
観客に想起させるスタイルの台詞が、最終的に(そうとは語られていないのにも関わらず)女子高生の飛び込みを連想させ、それにより生々しく受け止めてしまう、というアクロバティックなアプローチ。これをたった5分で実現できることに驚きました。静かながらとても鋭く切りつけられる作品。

 

「ピンボケ」
見事なラストでの開示。キャラクターも話の内容もほがらかであたたかく、それだけにラストでしんみりと、それでいてとってもあたたかな気持ちになり、泣きそうになりました。方言がまた世界観にマッチしていて素敵。

 

「才能の塊」
面白さはもちろん、役者さんのかわいさをとても引き出す脚本だなと感じました。ゆるく走る姿、第一声からのふわ〜っとした感じ。それに飴を噛む時の表情がスパイスとなって、終わって明るくなったときにもぐもぐしてる姿がまたかわいい。物語の展開も、5分とは思えないボリューム感がありました。

 

スワンソングはフィンガースナップ!」
頭から勢いがすごいんだけど、もう舞台上に現れてからの雰囲気はとくに、長年やってるロックンロール・バンドのボーカルのような熱さを感じました。モノローグ演劇会のラストに相応しい終盤の台詞で、まさにトリに相応しい熱さ!かっこいい!

 

中内さんの幕間トーク
実は上演時間の約半分を占める中内さんのトーク。どのエピソードもおもしろく、そしてほっこりしました。中でも特に印象的だったのはお子さんがつくったなぞなぞと、図書館の分館で行きつけのバー気分が味わえた話。あとピザの広告貼ってるおばあちゃん、素敵。真似したいと思いました笑

 

全体の感想

自作をつくっているときは「5分ってなんて短いんだ!」と思ってましたが、こうして他の方の作品を観ると、5分間で見事に見応えのある作品ばかりでした。すごい。ひと公演でものすごくボリューム感があってお得だなと感じました。

そういえば今思い出したけど、初期孤独部のときはライブハウスで5分ほどの作品を数本上演するスタイルで活動してました。もう10年以上前の、学生時代の話……。思えばあのとき、一曲の歌の長さで演劇作品をやるということに可能性を感じていたなあ。そういう芝居があっていいと思うんですよね。作品によってはどこでも上演できるし。

この"モノローグ演劇"というフォーマットが持つ可能性は、まだまだ広がる余地があるなと感じました。"モノローグ"の解釈も、まだまだいろんなアプローチがありそうですし。

 

出演者・関係者のみなさま、お疲れ様でした。ありがとうございました。
こういう現場がひさしぶりで人見知りなので、せっかくいたのにあまり交流できなかった……
またどこかでお会いできたらと思います。

 

 

最後に、今回のイベントに向けて書いた未上演脚本を貼っときます。

今回のお話をいただいて最初に書いたもの。

これだと長すぎて、でもあんまり切ることができないなと思いお蔵入りに。

こちらは今回の上演作とどちらにするか悩んだ作品。

こういうアプローチのモノローグは今回なかった気がする。

今回上演した作品。

今年行ったフィリピン旅行の際、カジノで話しかけられた経験から着想を得て書きました。

5分という短さのおかげで、書いてみる→試す、ということがしやすいのもまた、このモノローグ演劇のフォーマットのいいところでした。