先日は現代音楽について調べた。
「調べた」といってもググってWikipediaをはじめいくつか出てきた記事や動画を観た位なので、「調べた」なんて言えるほどのものでもないんだけれど。学生の頃だったら怒られちゃうな。まぁ、別にただの興味でやっていることなので、誰の目も気にせずに自分が飽きるまで(昨日も書いたけど、ぼくはすぐ飽きる)調べるということをしている。
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思えば本来の"学習の意欲"っていうのは、こういうもんなんじゃないかとも思う。自分の興味あることを、興味の趣くままに調べる。この原動力。
もちろん、学校の勉強がそうだったみたいに、全く知らないことを右も左も分からないところから知るというのも大事なこと。でもそればっかりに慣れすぎてしまって、ぼくはそういう、好き勝手自分の興味のままに調べるってことを、小さいころはあんまりしてなかったように思う。
だからだろうか。そういえば最近、慣れないことをするときに踏み出す一歩は大抵よろしくない方向からはじまる。
勘が養われてないのだ。
知らないことを自ら知るという、冒険みたいなことをやりなれてるひとだったらきっと、知らなくても勘で一歩目を踏み出せる。冒険に出たことないぼくみたいなタイプは、一歩目で無駄に躊躇したり、踏み出した一歩がへんな方向だったりしがちだ。結果、回り道をするはめになる。少なくともぼくはそうだ。最近ようやくそのことに自覚的になってきたので(というか今こうして書いてて自覚した)、もっと勘を研ぎ澄ませたい。
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話を戻して、現代音楽に興味をもったきっかけがある。先日、知人に現代音楽の演奏会に招かれたので、おじゃましてきたのだ。
それは演奏というよりもパフォーマンスという印象を受けて、もっといえば演劇と言われたらそうとも受け取れる作品だった。
「自分だったらどんな現代音楽作品をつくるか」
その公演の帰り道からしばらく、ずっとそんなことを考えていて、色々なアイデアがわき出た。思わず携帯のメモ帳にメモまでした(普段はあまりそんなことしない)。
それから、現代音楽というものに興味がでてきたので、調べてみることにしたのだった。
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さっきも書いたとおり、それほど調べたわけではないのだけれど、この動画(の一部)がためになった。
かの新垣隆さんと現代音楽について紐解く番組。新垣さんって現代音楽家なんだね、知らなかった。
この番組、すこし見てもらうとわかってもらえると思うが、本当にMCの芸人方の、現代音楽や新垣さんに対する扱いが酷い。それにとても残念な気持ちになったが、それはのちほど。
現代音楽史をざっくりまとめたVTRや最後の方の新垣さんが選ぶ現代音楽3選を見て、ほとんど何も知識のないぼくは、なるほどだいぶ現代音楽に対してすっきりした部分があった。(ざっくりなので、知ってる人からしたらとても不足なんだろうと思うけど)
そして何より、番組最後の新垣さんの即興演奏がすごかった。見たとき興奮してツイートしたのを貼っとく。
「出演して思ったこと」が演奏だけで見事に語られてる。ポピュラリティのある演奏で明快に心情を描き、ジョンケージのオマージュも見事に昇華し、現代音楽もポップスも分け隔てなく並べ、真摯に視聴者に向かいあってる。これで即興…!(48:15〜) http://t.co/AmWYoxLMy7
— かしやま(孤独部) (@nagoyaman1988) 2015年7月7日
すごかった。
この方は本当に音楽が好きで、それがクラシックかロックかポップスか現代音楽かということは問題ではなく、どれにしたって、ただ"音楽"なんだ。というのが、この即興の一曲で充分に伝わってくる。
そういう思いとメッセージを、音楽ど素人のぼくみたいなひとにもわかるように優しく丁寧に、真摯に演奏に込めているのが伝わる。あんなに酷い番組の仕打ちのあとでだ。このたった3分ほどの演奏から、新垣さんの気持ちも届けたいメッセージも人柄も、伝わってくる。これが即興なんだから本当に驚きだ。
"現代音楽"という、知らない人からしたらなんだかとっつきにくい印象を受けるものが、新垣さんのおかげで感覚としても、普段耳にする音楽と地続きのものであると実感できた。
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……ということを踏まえて、あらためて自分の創作活動に関して考えてみる。
現代音楽の演奏会の帰り道に思いついた構想は、近々形にしてみたいと思っているのだけれど、なんにしても大事なのは、自分自身の根っこにある"おもしろいと思った感覚"を作品の中心にしておくということかもしれないなあと。
忘れたつもりはないけれど、それでももっともっとそれを深く掘り下げて、純度を高くしてみたい。
そういえば、今読んでいる保坂和志も(昨日のブログに書いた→最近買ったエッセイ2冊 - なるべくまいにち)、以前読んだ本の中で「小説を書くとは、"小説とは何か"を考えながら進行していくものだ(p.16)」と述べている。
そういうこと、なんだよなあ。
はやく次の作品をつくりはじめようと思います。
記事とは直接関係ないけど、以前のライブのときに撮った写真。